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2005年6月 8日 (水)

『大統領の陰謀』

○2005年6月3日
 ニクソン大統領が失脚したウオータゲート事件の全貌は、ディープスロートと呼ばれた政府高官の内部通報者が名乗り出た。
 1972年、ワシントンのウォーターゲート・オフィス・ビルの5階にある民主党全国委員会本部に5人の男たちが不法侵入し、現行犯で逮捕されたことが事件のきっかけである。5人は元CIAの情報部員と共和党陣営の大統領再選本部員で、秋の大統領選挙にそなえて、民主党のキャンペーンを攪乱するために、雇われた者たちだった。
 ワシントン・ポスト紙の記者ボブ・ウッドワードは、この侵入事件の裏に、ニクソン大統領の選挙運動本部の指示によるものではないかとの疑惑を抱き、聞き込み調査を始めた。そこに、謎の政府高官ディープスロートがウッドワードに、金の流れを追えと示唆してきた。ウッドワードと同僚のバーンスタインは、大統領再選委員会の選挙資金の流れを追う内に、次第に、大統領の陰謀が明らかになり、ついには、ニクソン大統領は辞任することになる。
 1972年といえば、今から33年前のことである。名乗り出たディープスロートは、FBIの元副長官であるが、今や91歳である。
 この事件を映画化した『大統領の陰謀』のDVDを中古ショップで買っていたので、早速、観ることにした。主演は、ロバート・レッドフォードとダスティ・ホフマンである。映画になったのが、1976年なので、二人もまだ若々しい。辞任するニクソンがヘリコプターで登場する、モノクロの実写フィルムで映画は始まる。
 二人の記者は、疑惑の裏付けをとるために、周辺のあらゆる人たちに電話をかけ、面談をする。そして、その取材メモを書きなぐっている。最初は、認めていたことも、手のひらを返したように否定してくるものもいる。その証拠は、メモしかない。今であれば、録音テープを取るのであろうか。
 取材にあって、テープに録音するのは、取材相手の了解を得るのが原則とされるようである。一度は認めたとしても、後で、白を切られるということもあるとすれば、こっそりと録音でもしたくなる。最近の小型化した機器であれば、簡単であろう。
 NHKの番組に対し、政治家が介入したのか否か、朝日新聞とNHKの間で論争になっている。ここでも、朝日新聞の記者が、取材内容を録音していたのかどうかが問題になっている。録音するには、取材相手の同意が必要とあれば、録音テープの存在自体認めるわけにはいかないし、裁判になっても提出するわけにはいかない。しかし、正確な取材をするには、録音をしておいたほうがいいともいえる。
 役人が折衝に現れる場合には、必ず、2人が立ち会って、一人が筆記している場合が多い。そして、そのメモをもとに、当日の面談内容について、そのような発言をしていないと、口裏をあわせることがある。とすると、こっそり録音をしたくなるというのももっともといえそうである。
 『メディアの迷走(朝日・NHK論争事件)』(中公新書クラレ・保阪正康他)に、次のような一節があった。
 3月の朝日の編集局報に、河谷史夫論説委員が”新聞記者のメモ帳は、いざとなれば証拠物件になるというが、録音テープがあればもっと正確だおる。相手に断って録音機を置くのが原則としても調査報道のときには、断れば断られるに決まっている。だとすると『隠し撮り』しかない。”としているという。 

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