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2005年6月14日 (火)

おれの中の殺し屋

○2005年6月14日(火)
おれの中の殺し屋』ジム・トンプソン 扶桑社文庫

1952年に書かれた小説の新訳である。前に、「内なる殺人者」という邦題ででていた。

テキサスの田舎町の保安官助手が、次々と殺人を犯していく様子が主人公の一人称で語られていく。殺しの理由があるようでないというか、よく分からない。殺人を犯しても、平然としているが、冷酷なのかといえばそうでもないし、内省的な面もある。動機と思わしきことは、幼いときの父親との確執であり、家政婦との性体験であるかのようであるが、判然としない。ふとしたことで犯した殺人が、次の殺人をもたらすのである。文明のもたらした狂気としかいいようがない。
50年以上の前の犯罪小説がリアリティをもつ。文学的な価値があるとは思えないが、この本には文明がもたらしたものに対する直感的な洞察がある。決して愉快なものではないが、今の日本で、ジム・トンプソンが読まれいる由縁もそこにある。

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