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2005年8月13日 (土)

 「ねむのきの木のこどもたちとまり子」展・「江里佐代子・截金(きりかね)の世界」

○2005年8月13日(土)
 朝食後、ホテルから歩いて、泉屋博古館分館の「江里佐代子・截金(きりかね)の世界」にでかける。
 朝、人がまばらな美術館はの雰囲気は、何ともいえない清々しさがある。
 きりかねとは、薄い金銀箔を数枚焼き合わせて、厚みをもたせ、竹のナイフで、線状や様々な形にきり、箱、鞠、棗、衝立などの、表面に貼っていく技法である。
 江里は、日本画を学んだ後、結婚した仏師の夫が制作した仏像にきりかねをほどこす仕事から、様々な工芸品を作り出してきている。
 棗や風呂先屏風などの伝統的な工芸品にあっても、繊細な色遣い、文様等には現代的な息吹がほとばしっている。宇宙と名付けられたその世界は、この伝統的な手法がもつ広い未来性が感じられた。

 午後は、一転して、江東区の木場公園にある東京都現代美術館にでかけた。
 まずは、「ハウルの動く城・大サーカス展」に入場した。スタジオ・ジプリのアニメ映画「ハウルの動く城」を見ていないので、現代的な美術館の大きな空間に、サーカスを擬した見せ物的な人形が展示してあるのだが、今一しっくりとこなかった。唯一、面白かったのは、フランス人の大道芸人が展示物の前でしていたジャグリングなどのパーフォーマンス。サーカスのもついかがわしさが少しだけ感じ取ることができた。
 「ねむのきの木のこどもたちとまり子」展を見に2階に行った。ねむの木学園は、女優であった宮城まり子さんがつくった身障者のための施設である。こどもたちとあるが、今は大人になっている人たちもいる。ここに展示されている絵を描いた人たちは、みな、まり子さんを母と思い、まり子さんはこどもと思っている。
 最初の部屋には、掛川にあるねむの木学園の施設を紹介する写真とまり子さんのメッセージが並んでいる。その次の部屋の絵には、いささかショックを受けた。ほんめとしみつの「おかあさん」と題する一連の絵である。黒い線で描かれたおかあさんの顔の輪郭に、微妙なグデュエーションのある赤色で彩色されている。おかあさんの大きな目がこちらを見つめている。シンプルな絵であるが、強く、強く何かを訴えかけている。愛を語りかけている陳腐な表現になってしまう。何か、もっと大きなものだ。
 この絵は画集で見ていたが、実物の大きさに、手触りをしたくなる味わいに、何度もとって返して見に行った。
 この絵だけではなく、会場には、他のこどもたちの絵が多数並んでいる。身障者が描いた絵という先入観などはふっとんでしまう。美術館に展示するにふさわしいのである。
 会場には、多くの人が来ていた。入場料は無料であった。
 多くの人に見てもらいたいというまり子さんの希望もあるのだろう。「ハウルの動く城・大サーカス展」を観にきていた親子がどの程度きているのだろうかとも思った。
 まり子さんは、会場の一隅で、画集にサインをしていた。会期中、毎日、椅子にすわりサインをしていた。往年のやせた小さなまり子さんではなく、太ってどっしりとしている。病気で入院していたこともあって、体調は万全ではないと思うが、元気そうであった。
 昨年、銀座の小さな画廊で、最近力をいれているガラス工芸の作品展を見た。今年も、秋にするという。

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