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2005年9月18日 (日)

『シー・ウルフ』

○2005年9月18日(日)
  『シー・ウルフ』 監督アンドリュー・V・マクラグレン
   
    次回の映画の会は、戦争映画をという話になった。
    戦争映画には、あまり関心がない。映画の会は、私より、5-10歳程度上の人たちが多いということもあって、ヨーロッパ戦線であれ、太平洋戦線であれ、第二次大戦中の軍事行動に詳しいし、活躍した戦艦、飛行機などこともよく知っている。
    団塊の世代である私にとって、戦争といえば、ヴェトナム戦争である。ヴェトナム戦争を扱った映画といえば、「プラトーン」や「ディア・ハンター」などその恐怖に身につまされてしまい、家でDVDを観るのもつらい。
    戦争の形態も、ヴェトナム戦争あたりから、変わってきたことにもあるかもしれない。戦争でボタンを押すということは、かつては、核兵器のボタンを押すことであったが、現在は、ほとんどの戦争が、レーダーを使い、ボタンを押すという作業になってきている。さながら、ゲームによるバトルである。
    ボタンを押す者は、安全な場所にいて、人を殺すという作業は、ディスプレーの向こうで起きるに過ぎない。東京大空襲や、原爆投下も同じ側面があるが、自分の目で見るか、ディスプレーの向こうに見るかの違いは大きい。
    息子の塾の先生が、バトル・ゲームに興じる息子たちに、戦争になれば、君たちはすぐに、優秀な兵隊になることができるといったという。その言葉の真意はどこにあるか、不明なところがあるし、非常識として非難すべきことなのかもしれないが、多くの子供達にゲームに興じさせているという日本の社会は、きたるべき戦争に備えて、優秀な戦士を育てているという面があることは否めない。
    バトル・ゲームが、人を殺したり、殴り合ったりするものであるからけしからんということではない。それよりも、ゲームの世界が、反射神経の戦いで、ゲームに勝つためには、脳内の思考を停止し、ディスプレーからの情報に、指がいかに早く反応するかの戦いだからである。
   
    長々となったが、このようなことから、我が家のDVDの棚にある戦争映画は、「特攻大作戦」、「眼下の敵」、「頭上の敵機」程度である。未見のものが一つ、アンドリュー・V・マクラグレン監督の「シーウルフ」があった。1500円の特価ということで購入したものである。
    第二次大戦の末期、インド洋が舞台である。連合艦隊の軍艦が、ドイツの潜水艦Uボートにより、次々と撃沈されている。艦隊の情報が敵に漏れているのだ。
    ピュー中佐(グレゴリー・ペック)とキャビン・スチュワート大尉(ロジャー・ムーア)は、グライス中佐(デイヴィッド・ニーブン)の命により、インド西海岸に位置するゴアの町に潜入し、情報を流しているのが、ゴアの町に停泊しているドイツの商船であることをつきとめるが、ゴアが中立国にあるため、連合軍は、直接攻撃することができない。
    そこで、18世紀に設立されたカルカッタ軽騎兵隊が登場する。祖国のためなら何時でも立ち上がることを目的としたパートタイム志望兵の集まりである。従って、退役軍人などの中年の男たちの集まりである。
    おんぼろの船で、カルカッタからインド西海岸にあるゴアまでの航海も、船酔いに襲われたり、エンジンが壊れたりと、中年の男のようによたよたとゴアの町に辿り着き、商戦の攻撃を開始する・・・。
   
  1980年製作の映画であるから、一番若いロジャー・ムーア(1927年生)でさえ53歳、グレゴリー・ペック(1916年生)は64歳、デビッド・ニーブン(1910年生)は70歳である。
  二枚目俳優の老いた姿を観るのはつらい部分もあるが、いかにその老いをうまく見せるかというのも、映画の面白さである。ヘンリー・ファンダの「黄昏」のようにしっとり見せるのもいいが、クリント・イーストウッドの「スペース・カーボーイ」のように、プロットに老いをうまくからませると、上質なエンターテイメントとなる。
  「シーウルフ」は、後者の映画であるが、ロジャー・ムーアが007の頃の2枚目風の役を演じているあたりは苦しい役どころであった。もっと、若い俳優を使って、老兵との対比を際だたせたほうがよかったように思える。
  このような気分で、映画を観終わると、若いと思っている内に、還暦が目の前となり、現実をどのように振る舞っていけばいいのかととまどう我が身がそこにあった。

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