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2005年11月29日 (火)

『顔のないテロリスト』

○2005年11月29日(火)

  『顔のないテロリスト』 ダニエル・シルヴァ 文春文庫 ☆☆☆

”この地の紛争は1969年に始まった、という文章を目にしたときは吹きだした。アーマ県の北部では、プロテスタントとカトリックは数世紀にわたって殺し合いをつづけているのだ。いくつもの帝国が栄えては滅び、世界大戦が二度戦われ、人類は月へ行って帰ってきたが、バン川とキャロン川に挟まれた、なだらかな丘と峡谷がつづく一帯ではさしたる変化は起こっていない。”(p33)

 アメリカのイラク侵攻が始まってからは、もっぱらイラク情勢の報道が多い、時折、パレスチナ・イスラエル問題が登場する。アフガニスタンなどはすでに忘れられているのも同然である。報道されていないと、そこには何事も起きていないように思いがちである。
しかし、報道されていなくても、あいかわらず、テロもあり、テロに怯える民衆はいる。
 『顔のないテロリスト』には、アイルランド紛争を背景とする。
 ベルファストではカトリック系の過激派IRAの幹部が射殺され、ダブリンでは図書館が、ロンドンでは地下鉄が爆破され、多数の死傷者がでる。アルスター解放部隊と名乗る組織が犯行声明を出す。このプロテスタント系テロ組織の狙いは、北アイルランドの和平合意以降の和平の流れを阻止である。
 死亡した爆破犯の捜査の過程で、ロンドン市内に設置された監視カメラの存在が威力を発する。今年、起きたイスラム系英国人による自爆テロでも、驚くほど、早く、犯人の身元が解明され、監視カメラに写る犯人の映像が報道された。
 イギリスには、驚くほど沢山の監視カメラが設置されているという。イギリスは、昔から、アイルランドのテロリストの攻撃の対象とされていたことから、いち早く、監視カメラを普及させることになったのであろう。
 犯罪が増えれば、自衛措置として、監視カメラが普及するというのは、いいか悪いかは別として、自然の流れといわざるを得ない。日本も、やがて、一家に一台、監視カメラをという時代がくるような気がしてならない。

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