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2005年11月 5日 (土)

『真理試験ー江戸川乱歩に捧げる』

○ 2005年11月5日(土)

『真理試験ー江戸川乱歩に捧げる』

劇団フーダニットといっても知る人は少ないだろう。
大学の後輩が主宰しているミステリー専門の素人劇団である。江戸川区を中心として活動をしているのだが、今回は三重県の名張で公演をすることになった。この劇を観るためだけではないが、東京駅を朝9時33分発ののぞみで、名古屋に向かった。名張は、名古屋から、近鉄に乗って、1時間半のところにある人口8万の街である。
 名張は、乱歩が生まれた街、生家のあったところに、石碑が建っており、正面には、乱歩の評論の書名でもある「幻影城」と、裏面には「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」という乱歩の書が刻まれている。
 11年前に、名張市の図書館に、大学の推理小説同好会のOBがもつ推理小説の蔵書の寄付をした。私のもっていた本も地下の書庫に収められている。それ以来、毎年、名張に遊びにくるようになった。名張に、一泊し、翌日は、京都、奈良、三重などの観光をしているが、通常の観光コースとはひと味違った趣があって、面白い。
 今回は、13時からのミステリ作家の有栖川有栖さんの講演会場が待ち合わせの場である。ホテルの講演会場には、120人位の人がいたが、大半は若い人で、我々のような年輩者は少ない。
 有栖川さんは、名張に来たのが、5回目であるということから話を始めた。最初に来たのは、SRの全国大会に出席するためで、高校生の時であったという。
 SRの会はミステリの愛好家の会で、SRは、SEALED ROOM、密室の意味である。
 50年以上の歴史をもつクラブであるが、創設時のメンバーには、紀田順一郎さんもいるし、今日、名張に一緒に来ている先輩のTさんがSRの会の会長である。私も、学生時代、東京の集まりに行ったことはあるが、入会することはなかった。
 有栖川さんの話は、今日一緒に会場にきている奥さんが小学校の同級生であり、有栖川さん以上の乱歩ファンであるということを紹介し、こども時代のホームズ派、乱歩派の話になり、その後、会場にきている人の質問に答える形で進んでいった。
 左目にかかってくる長髪をときおり払いながら、とつとつと丁寧に話をしているのが印象的であった。
 関西ローカルの深夜に、有栖川さんと綾辻行人が原案を作っている犯人当てのテレビ番組「安楽椅子探偵」の話題になった。今、6作目をつくっており、来年の3月に放映の予定ということであった。この番組は、残念ながら、関東では放映されていない。ただ、今度、ミステリ・チャンネルで放映されるかもしれないという話であった。

 16時からは、フーダニットの芝居見学である。演目の「真理試験ー江戸川乱歩に捧げる」は、ミステリ作家の辻真先の書き下ろしである。
 シンプルな舞台である。正面にテーブルと椅子が2脚。女性判事が犯罪を犯した被疑者の取調をする場面から始まった。時代は、昭和初期の話になっている。当時は、裁判官が取調をすることがあったのだろうかと、考えている内に、うつらうつらと眠気が催してきた。その内、パーティが始まり、先の場面が劇中劇であったことがわかり、そこで、殺人事件がおきるという展開であった。劇中劇であるとわかり、最初の場面の物足りなさも作為的なものとも見えてくる。ここらへんは、台本作者の意図的なものであろうか。

 終わった後、テレビのプロデューサーで、演劇にも一言のあるKさんが、ラストの照明の仕方を変えるだけで、エンディングがうまくいくのではないかとアドバイスをしていた。
Kさんの話によれば、イギリスには、アマチュアの劇団が沢山あり、国からの補助を受けて、プロが劇団の指導をするというシステムがあるということであった。補助をすることが、文化に貢献するという建前なのかもしれないが、アマチュアの劇団を活性化するということは、地域コミュニティーを作る手段としては有効であるし、地域の経済の活性化に資する面もあるように思える。
 フーダニットの芝居も、プロの指導を受けることによって、もっと面白いものになっていくかもしれない。

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