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2005年11月 9日 (水)

 『誤読日記』

○2005年11月9日(水)
 『誤読日記』 斎藤美奈子 朝日新聞社

 読書週間が始まった時、ラジオを聴いていたら、若い人への読書の勧めとして、ブックガイドを2冊挙げていた。1冊は、丸谷才一の本で、もう一冊が、斎藤美奈子の「誤読日記」であった。
 丸谷才一の本の題名は忘れたが、いかにももっともという選択である。しかし、「誤読日記」が若い人ためのブックガイドとなると、疑問である。
 斎藤美奈子のファンである。その一刀両断ぶりは、いつも読んでいて楽しい。どこかの誰かのように、大上段に構えて斬るという大仰さがないところがいい。誤読日記は、2000年4月から、あしかけ3年、週間朝日とアエラに連載された、時の話題になっている本を取り上げたコラムである。取り上げているのは、「乙武レポート」、「ああ言えばこう嫁行く」、「百寺巡礼」などなど、175冊。
 誤読であると断りながらの一等両断であるから、これを読んで、本を読みたくなるのは、酔狂な御仁である。多くの人に読まれている、あるいは、これから読まれそうな本を取り上げ、「誤読」をするのである。
 最初に、「楽しい誤読生活のおくり方」という文が載っている。
 「本は誤読してなんぼです。深読み、裏読み、斜め読み、さまざまな読み方が世間では知られておりますが、さらに一歩先を行く誤読の方法を紹介しましょう。」p2
 そこで、紹介される誤読の方法とは、
  「見取り読み」(見せ場をさがす)
    「脱線読み」(書き手が意図したものではないが、意外な見せ場をさがす。)
    「見立て読み」(書き手が意図したジャンルとは別の発想で見立てる。)
    「やつし読み」(その立場になったつもりになる。)
    「鵜の目読み」(分からなかったら、遠くから眺めてみる。)
    「虫の目読み」(つまらなかったら、面白いワンフレーズだけを探す。)
    「探偵読み」(一冊の本の中の矛盾をさがす。)
    「クロスオーバー読み」(一冊でラチがあかないときは、他の本に浮気をすると、その本の個性、没個性がわかってくる。)
    「ひらめき読み」(内容に関係なくても、読んでいる最中のひらめきを大事にする。)
    「カウント読み」(同じ言葉、出来事がでてきたらその数を数えてみる。)
  である。但し、( )内は、私が少しデフォルメ(誤読)しています。

    これらの誤読の方法を意識しながら、この本を読んでいくと面白い。
    たとえば、堀場雅夫の「仕事ができる人できない人」(三笠書房)である。p130
     ベストセラーとなった「チーズはどこに消えた?」について、女子社員の「このチーズとは恋愛よね」という雑誌記事から、このビジネス書を、恋愛読みするとどうなるかとする。
    堀場のいう
    ①「出過ぎた杭になれ。②「熱しやすく冷めやすく」③「高望みをしろ」
    は、恋愛読みでは、
    ① ずうずうしく、アタックあるのみ ② 一筋はダメ、浮気っぽいほうが報われる。  ③ 高望みをしろ
    となる。見立て読みである。
   
    この本をブックガイドというのは、それこそ、誤読である。
    それよりも、「感想文の書き方」として、お奨めの本である。
    これを駆使すれば、感想文を書くことも、怖れることはなくなる。
   
   

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