« 『カリフォルニア・ガール』 | トップページ |  『鴛鴦歌合戦』  »

2005年12月22日 (木)

『メッセージ』

○2005年12月22日(木)

     『メッセージ』
      マークス・ズーサック ランダムハウス講談社文庫
   
    何となく手にした本が当たりのときは、格別である。最近登場したランダムハウス講談社文庫の『メッセージ』がそれである。
    「この強盗はどじだ。」が冒頭の一節。
     主人公のエド・ケネディが銀行強盗の現場に居合わせてしまったのだ。強盗に銃を突きつけられながらも、ユーモアたっぷりに、のんびりと話は始まる。
     将来に夢も希望もないしがない19歳のタクシー運転手は、ひょんなはずみ強盗の逮捕とい手柄を立てて一躍、街の有名人となる。
     エドには、ドアマンというとぼけた名前のロットワイラーとジャーマン・シェパードの雑種の老犬と同居している。友達のオードリーに首たっけなのだが、オードリーはただの友達としか思っていない。
     そんなエドに、ダイヤのエースのトランプ・カードが届く。カードには、3つの住所が書かれていた。
     その住所には、何が・・・と話が進んでいく。
     次々と届くカードには、謎めいた文字が書かれている。
     カードの文字に導かれるままに、エドは、悩みや苦しみを持つ人たちを癒していく。DVに怯える妻、ひとりさびしく食事を取る老女、裸足で走る少女、さびれたスラム街の教会のために、できることは何かとエドは考えていく。
     2004年度のオーストラリア児童図書賞を受賞した作品であるから、子供向けの小説であり、他愛もない話である。
     でも、ひねくれた小説読みの私でも、素直に楽しみながら読むことができた。クリスマス・シーズンにふさわしい神様からの贈り物であった。
     3枚目のカードに書かれていたのは、グレアム・グリーン、モリス・ウェスト、シルヴィァ・プラスという3つの名前である。私は、グリーンしか分らなかった。エドが知っていたのは、詩人のプラス。では、モリス・ウェストは?
   
     エドが、貸し切りの映画館で、オードリーと二人で観る映画、これがなんと、「暴力脱獄」なのである。
   
    ”スクリーンが転倒し、ぼくは『暴力脱獄』の有名な場面、ルークがとうとう抵抗をあきらめ、仲間たちから見捨てられる場面を待っていた。ルークが寝台の足もとから、「神様、どこにいるのですか!?」と叫ぶシーンを待ち受けた。”(下巻、139p)

      こどもには、高尚すぎる気もするのだが、このような本が児童図書賞を取るというのは・・・

|

« 『カリフォルニア・ガール』 | トップページ |  『鴛鴦歌合戦』  »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『メッセージ』:

« 『カリフォルニア・ガール』 | トップページ |  『鴛鴦歌合戦』  »