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2006年1月22日 (日)

『耽溺者(ジャンキー)』

○2006年1月22日(日)

『耽溺者(ジャンキー)』 グレッグ・ルッカ 講談社文庫

”店に入った瞬間にナタリーが気づいて片手をあげたので、そっちのテーブルに行きかけたところ、すみやかにメートル・ドテルにさえぎられた。目に入ったものがまったくお気に召さない様子だ。あたしの鼻ピアスのせいなのか、パイカーズ・ジャケットなのか、ブルージーンズなのか、それともブーツなのか。ひょっとするとホットヘッド・ペイザンのTシャツがいけなかったのかもしれない。色は白で、胸元には主人公ホットヘッドが飼い猫チキンとささやかなジグを踊っている姿がステンシルで染めつけてある。”(p60)

 久しぶりに、ひりひりとしたハードボイルド・ミステリを読んだ。
 ボディ・ガードのアティカス・コディアックのシリーズに登場する私立探偵ブリジット・ローガンが主人公のミステリである。
 ブリジットは、ボディ・ガードのナタリーの友人で、ナタリーを通じて知り合い、アティスカと恋仲となったのだが、アティカスがナタリーと一夜を共にしてしまったことにより、アティカスとの関係が危うくなる。ここまでは、アティカスを主人公とする「守護者(キーパー)」、「奪回者」、そして「暗殺者(キラー)」(いずれも講談社文庫刊)までの物語である。
 次作の『逸脱者』の前に、番外編として、ブリジットを主人公とする『耽溺者(ジャンキー)』が登場したのである。
 
 1996年モデルのポルシェを乗り回す身長185cmの女性の私立探偵というと、モデルのような女性を想像してしまうが、冒頭の文章で、ブリジットが独白しているように、レスビアンのテロリストを主人公とする漫画ホットヘッド・ペイザンを描いたTシャツに、ブルージーンズ、パイカーズ・ジャケットを着て、鼻にはピアスをしているというのだから、外見からして生半可な女性ではない。
 アティカスが自己の過ちをひたすらあやまり、仲直りを請う相手としては、違丈夫?という気もするのだが、この小説で、薬物中毒に陥り、更生中というブリジットの過去が証される。
 ブリジットが更生中に知り合ったライザは、やはり、更生中のジャンキーで、元売春婦で、息子を育てながら、救急救命士の死角取得を目指している。そのライザから、麻薬密売人のヴィンセントが、昔貸していた麻薬代金を返せ、返せなければ、昔のように売春をして返せ、と迫ってきたと、ブリジットに助けを求めてきた。
 ヴィンセントを遠ざけるためには、殺すしかないとするライザであったが、ヴィンセントが殺され、ライザが犯人として逮捕される。
 ブリジットは、ライザを救うために、麻薬密売組織に潜入する。

 薬物を誘う内なる声と戦っている身で、友を助けるために、身の危険を冒して、麻薬に近づいていくブリジットは、孤独、悲壮感が、読む者にざらざらと迫ってくる凄まじい。
 昨年、読んでいれば、2005年の「ベスト3」に入れていた1作である。

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