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2006年2月17日 (金)

『4TEEN』

○2006年2月17日(金)
『4TEEN』  石田衣良  新潮文庫
 
 中学生の息子に時折、本を買ってくる。息子は、目下、サッカーのコミックを集めると、ブック・オフに通っているらしい。活字の本を買うといっても、今、流行のファンタジー系の小説くらいである。
 私に対する息子のリクエストは、自分と等身大の少年が登場する小説である。
 というわけで、乱歩の少年探偵団シリーズの軽装版がでているので、このシリーズを買ってきていたのであるが、7-8巻目になって、どれも似たような話だといいだした。
 未だに、「名探偵コナン」の新作を読み続けているのだから、似たような話というより、同じトーンの活字に飽きたのだろうと思い、中断した。
 いまさら、子どものころに読んだ下山   の「次郎物語」や山本周五郎の「さぶ」のようなものをというのもどうかと思うと、私にとって未知の作家の小説から選ぶことになる。
 石田衣良の『4TEEN』は、まさしく、タイトル通り、14歳の中学生の4人組が主人公の青春小説である。
 数カ月前に、買ったのだが、部屋の書棚においたままであった。息子に渡す前に、読んでみようと思い、そのままになっていた。
 石田の名前は、「池袋ウェストパーク」の作者である程度の知識しかなかった。この小説も、数年前に買ったのだが、書棚のどこかに埋もれてどこにあるか分らない。
 池袋は、私の利用するターミナル駅であり、多少の土地鑑はあるのだが、なじみのある土地ではない。ウェスト・パークというのだからおそらく西口、西武デパート側ではなく、東武デパート側にあるのだろうが、何となく、近寄り難いイメージがある。そして、石田にも、何となく、無頼の部類の作家というイメージをもっていた。
 そのようなこともあって、息子に、味読のまま『4TEEN』を渡すことにためらいがあった。
 舞台は、月島である。東京で生活していても、月島はかちどき橋の向こう側にある、もんじゃ焼きの町というでのイメージしかない。最近では、リバーサイドに、高層マンションが林立しているというイメージもある。
 古い下町と、都会が入り交じった町に住む中学2年の同級生、ナオト、ダイ、ジュンとテツローの4人の青春が、8編のエピソードで綴られている。
 最初から、エロ雑誌の話や、援交の少女などが登場して、お父さんの立場としては、多少びっくりなのだが、全体を少年たちの目線で、DVやひきこもり、ホームレスの世界を描き、禁断の線を少し超えながら大人になっていく様子が、ほろにがく軽快なタッチで描いていて、日本版「スタンド・バイ・ミー」の世界である。
 石田は、あとがきで、この小説を書き出し、直木賞を得るにいたるまでのことを書いている。いい文章である。

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