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2006年3月18日 (土)

 『 ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』

○2006年3月18日(土)
 『 ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』 監督ジェームズ・マンゴールド

 30数年前、ラスベガスのホテルで、ジョニー・キャッシュのライブを観にいったことがある。ドラッグに溺れた生活からカムバックを果たした監獄フォルサム・プリズンでのライブを行ったのが1968年であるから、その数年後のことである。
 ジョニー・キャッシュの低音でたたきつけるように歌い方には、ボブ・ディランのそれとは異なる魅力に溢れていた。ハンク・ウィリアムスのLPレコードを買いあさっていたことはあるが、カントリーのことはよく知らないし、今でも、そうである。
 新宿の東急ハンズで、買い物をした後、タイムズ・スクエアーで、『 ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』を観た。
 子ども少年時代に兄弟を亡くし、歌手として成功をした後にも、そのトラウマのとらわれ、ドラッグに溺れ、再起を図るというそのストーリーは、レイ・チャールスの伝記映画『RAY/レイ』と全く同じである。
 ジェイミー・フォックスの演じるレイの仕草が非常に似ていたが、ホアキン・フェニックスのキャッシュは、イメージとは相当異なり、最初は違和感があった。しかし、話が進む内に、その違和感が消えていった。ホアキン・フェニックスの歌が、キャッシュのそれに二重写しになっていくのである。歌い方は似ているが、キャッシュのそれとは明らかに異なるのだが、思いのたけをたたきつけるような歌い方がキャッシュの思いのたけと重なり合い、記憶の底にしみついているキャッシュの歌声にラップしていく。RAYのときにも、これに似た感覚に陥ったが、こちらの映画の方がよりその思いが強かった。
 映画の作りも似ているし、ストーリーも単純、演技の方もすばらしいとまでは言い切れない。ソウル・ミュージックとカントリー・ミュージックという違いかといっても、そのサウンドの共通している。この映画でも、そっくりさんが登場するジェリー・リー・ルイスやエルヴィス・プレスリーのロック・サウンドが登場するが、ソウルとカントリーのサウンドから生まれていることがよくわかる。
 何が違うのかというと、リーズ・ウィザースプーンが演じるジューン・カーターの存在である。キャッシュとジューンのデユエット・シーンが何度も出てくるが、最後のクライマックス、キャッシュはジューンと舞台上で、「ジャクソン」を歌いながら、プロポーズをする。これぞ、カントリーのデユエットの真骨頂の世界を見せつけてくれる。
 RAYでは、差別を受けたジョージア州で、「ジョージア」を歌うレイも感動的であったが、単純な言葉で生活をつづるカントリー・ソングのよさがそのまま、『 ウォーク・ザ・ライン』の世界につながってくる。この小さな幸せの世界に・・・ 

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コメント

ジョニー・キャッシュのライブ
少し生まれ年が若いから、かなわなかったこと。私にとってはヨハン・クライフというオランダの名サッカー選手の現役時代が撮影できなかった、という事例が代表的であります。
同様に、レイ・チャールズのライブも聞き逃しました。
表題のライブ。実に羨ましいことです。ライブを見たからこそ「ウォーク・ザ・ライン」の批評ができる。何物にも変えがたい事は「自分がそこにいた」という事実です。
「ウォークザ・ライン」2月の出張のエール・フランスの機内で二回見ました。その後頭から離れなかったのは、本人と、役者と、歌はどうなの?という疑問でした。アメリカンヒーロー的な存在を映画化するに当たって、その辺をいい加減に作るわけはない、と思いながらも聞き比べられない以上自分には判断できない、と思っていました。
そして、ウィザースプーンの歌に、実は驚いきました。さすが、カントリーの国です。彼女の演技にはいつも感心しますが、今回はその
歌に(本当にうたっているのか?)脱帽です。

投稿: Shinji acag Akagi | 2006年3月31日 (金) 09時27分

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