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2006年3月16日 (木)

『知りすぎた女』

○2006年3月16日(木)
   『知りすぎた女』 ブライアン・フリーマントル 新潮文庫

 フリーマントルの小説は、ファース(笑劇)だなと改めて思った。
 チャーリー・マフィンのシリーズにしても、重厚なスパイ小説の雰囲気を装っているが、全体的にみれば、イギリス人特有の諧謔趣味にあふれたドタバタ劇である。ドタバタ劇であるからこそ、さえないチャーリー・マフィンが魅力的に見えるのである。

 『知りすぎた女』 は、ノン・シリーズのミステリ。
 会計士のジョン・カーヴァーは、ウォール街にある国際的な会計事務所の創設者であるノースコートの娘ジェーンの夫であり、この会計事務所を継ぐことになっていた。
 ある日、カーヴァーは、ノースコートがマフィアのマネーロンダリングに関わっていることを知る。カーヴァーは表沙汰になると、事務所が崩壊するとの危機感を抱き、事態を何とか解決しようと動き出すが、ノースコートが謎の死を遂げ、マフィアは、カーヴァーに対し、ノースコートが隠している証拠資料の返還を迫ってくる。
 このように、極めて現代的な、サスペンスフルなストーリー展開で始まるのだが、カーヴァーは途中であっさりと死んでしまい、マフィアに追いかけられるカーヴァーの愛人の経済記者アリスと妻ジェーンの話へとなっていく。
 この思いがけない展開に、最初は裏切られたとつい思ってしまうのだが、ファースの手練れであるフリーマントルらしいといえば、フリーマントルらしい展開である。
 最後まで、一気に読むことができる軽いミステリとしてはお奨めの一作。

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