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2006年6月 1日 (木)

『新世紀書店』

○2006年6月1日(木)
『新世紀書店』北尾トロ、高野麻結子(ポット出版)

 目白にある大学で、90分ほど話をした帰り、目白の駅についた時には、午後6時を回っていた。事務所に戻らず、久しぶりに、池袋にあるジュンク堂書店に行こうと考えた。
 ジュンク堂は量の多い品揃えが売りの書店なので、買いたい本を決めて出かけるには便利であるが、ぶらぶらと見て歩くには、相当、気力と体力がいる。従って、体調のいい時に、ぶらっと行ってみようという気になる。
 ワールドカップにちなんだスポーツ系本が並んでいる平台を眺め、4階にある喫茶のコーナーの方にある棚を覗こうと歩いていったら、トークショーの受付をしていた。
  『新世紀書店』とあるので、何かなと思って覗いたら、『新世紀書店』の出版記念のトークだという。まだ、席があるとのことだったので、何となく聞いてみようと気になった。
 話をしたのは、この本の編著者である北尾トロ氏と西荻窪で古本屋ハートランドを経営している斎木博司氏である。
 2人は、本の街を作りたいという思い、それには、まず、ヨーロッパの本の街を見てこようと、イギリスのヘイ・オン・ワイとベルギーのルデューに出かけたときの話である。 ウェールズとイングランドの国境にあるヘイ川のウェールズ側の街、ヘイに行くにははロンドンから列車で3時間、バスで1時間、計4時間近くかかる。人口2000人のその街には、30軒ばかりの古本屋がある。50年以上前に、リチャード・ブースという人が古家を改造して古書店を開いたのを最初にして、その後、次々と古書店ができ、本の街として有名になり、観光客が沢山くるようになったという。プロジェクターで投影された街の写真には、緑豊かな山並みの中に、城を中心としたきれいな町並みが写っている。
 北尾氏の話では、古書マニアが目の色を変えるような本は少ないが、ホテルやB&Bに泊って、古本屋巡りをして本を楽しむ雰囲気があるという。近くには、ハイキング・コースもあり、午前中ハイキングをして、午後に本を買ってゆっくりと読むという過ごし方もあるという。
 これに対し、ルデュの方は、最初から、町おこしを狙って作られた街で、ヘイと比較すると、テーマパークのような雰囲気のこぎれいな街で、本屋のデザインも凝っているが、北尾氏たちは、ヘイの街の人間臭さがえらく気に入ったようである。
 
 三重県に名張という街がある。江戸川乱歩の生誕地ということで、図書館には乱歩コーナーもあり、乱歩の文献目録を刊行したり、ミステリ作家の講演会を開いたりしている。 先日も、ミステリの古書市ができればいいなと知人と話をしたりしていたが、名張なら、このような仕掛けができるかもしれないと、話を聞きながら夢想していた。
 
 小山正氏が、ヘイ・オン・ワイの話をしていたことを思いだし、奥さんの若竹七海さんが書いた『英国ミステリ道中ひざくりげ』(光文社)を引っ張り出してきた。小山氏も執事と称して、「執事の英国書店漫遊記」書いている。そこに、ヘイ・オン・ワイのことがある。ミステリと映画のマニアである小山氏のみたヘイ・オン・ワイは、北尾氏の話していたイメージとは若干異なり、古書マニアとして目の色を変えた本が並んでいたようで、各古書店の紹介が詳しく載っている。

 

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