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2006年7月 6日 (木)

『ライブドア監査人の告白』

   ○2006年7月6日(木)
     『ライブドア監査人の告白』  田中慎一  ダイヤモンド社

 著者の田中は、ライブドアの監査人であった港陽監査法人のパートナー(共同経営者)である。
 ライブドアは、粉飾決算等により、代表者員らが逮捕され、刑事責任を問われており、現在、刑事裁判手続きが進行中である。
 この事件では、堀江貴文社長、宮内亮治取締役CFOのほかに港陽監査法人の元パートナーであった久野太辰らが起訴されている。起訴事実は、証券取引法違反である。
 一つは、風説の流布及び偽計取引である。風説の流布とは、株価の操作を行う目的で虚偽の情報や根拠のない噂を流すことであり、偽計取引とは、やはり、株価の操作を行う目的で人をだましたり、虚偽の情報を名がすることである。
、もう一つは、有価証券報告書の虚偽記載、いわゆる粉飾決算である。架空の売り上げを計上して、ライブドアの利益を水増ししたというものである。
 新聞報道では、今ひとつ、容疑事実を理解できなかったが、公認会計士である田中が、容疑となっている仕組みを図示しながら丁寧に説明をする。
 ライブドアに強制捜査が入ったのが、今年の1月16日である。そして、この本が刊行されたのが、5月25日である。まさしく、田中のパートナーであった久野が逮捕・起訴されたに対し、田中は起訴されなかったが、被疑者とされてもおかしくない立場にあったのだから、同時進行中のドキュメントである。
 最近、日本でも、刑事事件の被告人が刑事裁判手続中に、反論の書を刊行することが目につくようになった。有罪が確定した後に出されるものもある。
 田中は、ライブドア事件の渦中にいたが、起訴されなかった。
 
 「今回の事件を過去の事例に照らして考えた場合、捜査当局が我々を逮捕するという事件の市なりを作り上げることはやなしいことなのだそうだ。中村先生からは、とにかく捜査当局を刺激しないように注意するようアドバイスをうけた。」p25
 「要するに、捜査当局は収集した情報をもとに事件のシナリオを作るわけであるが、事件に関連する当事者が情報を流したり、公式見解を出したりすることは、当局のシナリオ作りの妨害になるというわけだ。万が一、当局の描くシナリオと違う事実がでてこようものなら、彼らの面目を潰すことになる。」(p26)

 田中は、新聞記事だけではわかりにくいこの事件の構図を説明しながら、ライブドアの役員達の責任をわかりやすく解明してくれる。この絵を描いたのは、ファイナンス事業部の宮内亮治取締役であるとし、港陽監査法人の久野太辰元パートナーが監査人としての責任を怠ったとする。そして、田中は堀江貴文社長の責任に言及しながらも、どちらかというと宮内の描く構図に巻き込まれていったとしているようである。
 それだけ、公認会計士であった田中が、同業者であった宮内や久野に厳しいという面もあると思われるが、田中は、役員たちの法的責任は明白であるとしている。
 先日の新聞報道によれば、無罪を主張する堀江貴文の公判で、検察側の証人にとして登場し、宮内は、堀江貴文の拡大路線に引きずられてしまったとするように証言をしているようである。
 根拠のない憶測であるが、堀江は、宮内の手の内で踊っていたピエロにすぎなかったのではないかと思えてしかたがない。宮内も、田中も、検察側の描く構図に載って、話しているにすぎないような気がするのである。ミステリ読みの勘ぐりであろうか。

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