« 『空飛ぶタイヤ』  | トップページ | 『トリック+トラップ』閉店 »

2007年2月 2日 (金)

『オフィサー・ダウン』

2007年2月2日(金) 
  『オフィサー・ダウン』 テリーザ・シュヴィーゲル 早川文庫

 ミステリ・マガジンの「私のベスト3」アンケートに、ローリー・リン・ドラモントの
『あなたに不利な証拠として』を2006年のベスト3の一つにあげ、次のようなことを書いた。

  ”小鷹信光の『私のハードボイルド 固ゆで玉子の戦後史』(早川書房)を読みながら、ハードボイルドという言葉自体が通用しない時代になったのだと痛感した。
   そういう意味で、久しぶりに再登場したリューインの私立探偵アルバート・サムスンが家族愛に目覚め、やわになったのも時代の流れともいえる。
   これに対し、ドラモントの描く、生きていくために、幾重もの敵と対峙しなければならない女たちのなかにハードボイルドな世界がかすかに息づいていると感じた。」
 
  昨年の11月に出たテリーザ・シュヴィーゲルの『オフィサー・ダウン』もかなりハードな警官小説である。
  主人公は、シカゴ市警二十三分署の巡査サマンサ・マックである。同僚の刑事メイスンと不倫の関係にあるサマンサは、ある日、前の恋人であったフレッドとのパトカー乗務を命じられる。
 
  ”しばらくして彼を見ると、彼も私を見ていた。急に彼が仕事よりも恋愛を優先させるような軟弱警官ではなくなる。以前のように・・・”
                                                                (p34)
                                                               
 フレッドとサマンサは、保釈中に逃亡したトロヴィックを捉えるために踏み込みんだ家で、暗闇での銃撃戦に巻き込まれる。撃たれたフレッドを介抱しようとしたサマンサは、何者かに殴られ、気を失ってしまい、フレディも死亡する。フレディを射殺した銃弾は、サマンサの銃から発射されたものであった。
 サマンサは第三の人物がいたと主張するのだが、サマンサの誤射によるものであると断定される。納得しないサマンサは単独の調査を開始する。スキャンダルとなることを恐れる市警の上層部はサマンサを休職にする。内部調査部のオコナーと真相解明に協力する愛人メイスンとの確執もあり、事態は二転三転する。

 フレッドの家を弔問に訪れたサマンサは、フレッドの妻やメイスンの妻と会い、短いやりとりなど、複雑な感情をないまぜた緊張感に溢れていて、スリリングな展開である。荒削りなところもあるが、女性でなければ書けないハードボイルドな警官小説となっている。
 
 
 

|

« 『空飛ぶタイヤ』  | トップページ | 『トリック+トラップ』閉店 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『オフィサー・ダウン』:

« 『空飛ぶタイヤ』  | トップページ | 『トリック+トラップ』閉店 »