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2007年2月11日 (日)

『トリック+トラップ』閉店

○2007年2月11日(日)
       『トリック+トラップ』閉店
 
 吉祥寺にあるミステリ専門店『トリック+トラップ』がこの連休で閉店することになった。
小林まり子さんが開いた書店を、東京創元社の編集者をしていた戸川安宣さんが臨時店員と称して、店番をしていた。
 私より1歳上の戸川さんと知り合ったのは大学生の時である。立教大学にミステリクラブを作った戸川さんが、私の属していた大学の推理小説同好会の会合に遊びにきたときが初対面である、それから、かれこれ35年以上になる。
 
 トリック+トラップは、吉祥寺の駅から歩いて5分程度のところにある4畳半程度の小さな書店である。
 入り口のドアをあけると、正面と右側の棚に文庫本が並び、ハードカバーを並べた書棚が左右を分ける間仕切りとなっている。
 週末、のんびりとした気分になると、トリック+トラップに出かけていた。客がいないときは、戸川さんとは、ミステリ談義をしたり、ミステリ仲間の消息を聞いたりしていた。たまに、学生の客とも話をしたりしたが、彼らが好きだとする日本の作家の多くは、名前もしらなかったりと、我ながらの世間知らずを思い知らされることもしばしばあった。
 戸川さんは、出版社のパーティとなると、本を入れた紙袋をぶらさげてきて、著者からサインをもらうのだと会場をうろうろしていた。そして、サイン入りの書籍がトリック+トラップの平台におかれ、それを目当ての客もくるようになっていた。また、作家が突然店に現れ、たまたま居合わせた客のためにサインをすることなどもあったらしい。
 小さな書店なので、採算がどうなっていたのかはよく分からないが、独特の存在感のある店になりつつあったので、閉店するは非常に残念でならない。
 
 今回の閉店は、戸川さんの体調が不良となったためである。昨年末に会ったときは、本当に体調が悪そうだったので、心配していたところに、閉店のお知らせがHPに掲載された。

 午後2時過ぎに、ドアを開けると店の中は、多数の客がいて、文字どおり立錐の余地のない状況であった。開口一番、昨年、預けていた大学のクラブの55周年記念誌『推理小説論叢』(トパーズプレス刊)が売り切れたと、戸川さんからいわれた。閉店セールなのに、在庫となるものを持ち込んだら悪いと思っていたなどと、話をしていたら、クラブの後輩の小山正がパートナーの若竹七海さんと同伴で現れ、そのすぐ後に、やはり、エドワード・ゴーリーのファンで、研究家でもある濱中利信が現れた。彼も大学のクラブの後輩である。
 あまりの混雑に、先の3人と作家の霞流一さんとと、ばかミスのSNSの管理人をしているという佐藤さんの6人で、近くに喫茶店で時間をつぶすことにした。
 若竹さんは、戸川さんのリクエストで、吉祥寺のミステリ専門書店〈マーダー・ベア・ブックショップ〉を舞台にした私家版の短編「信じたければ」を今日届けにきたとのことであった。夫婦で手作りをしたという洒落た小冊子で、40部作るための作業の一部始終?を楽しく聞かせてもらった。こんな本の作り方もあるのだと、真似をしたくなる話であった。この冊子の奥付にはTRICK+TRAP叢書のNo.1とあり、副題も「殺人熊書店の事件簿1」とあるので、すぐに、次号はどうなるという話になった。
 店に戻ると、有栖川有栖さんが奥の方で、サインをしていた。

 作家と読者が、自然に知り合える場所がこうしてできてくるのだと思った。閉店を惜しみながらも、一時の楽しみの場を創り出してもらい、楽しみを共有させてもらった小林さんと戸川さんに感謝である。

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