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2007年10月19日 (金)

『ギャングスター・レッスン』

○2007年10月19日(金)

     『ギャングスター・レッスン』 垣根涼介 徳間文庫

 垣根涼介の『ヒートアイランド』は、渋谷の街の地下室で、格闘イベントを開いていた19歳のアキとその仲間が、ヤクザの資金源を襲ったプロの強盗団、渋谷・六本木を縄張りとする暴力団、そして、関西から東京進出を図る暴力団がみつもどえ、よつもどえとなって戦う面白い活劇小説であった。
 以来、垣根は私にとって、要注意の作家になった。
 『ギャングスター・レッスン』は、『ヒートアイランド』の続編である。
 格闘イベントの世界から足をあらった1年後、柿沢、桃井と会う。2人は、ヤクザの資金源、政治家や企業の裏金など、表沙汰にならない金を狙うプロの強盗で、ヒートアイランド渋谷の抗争により、知りあったアキを見込んで、仲間に誘っていた。
 
 桃井と柿沢は、半年をかけて、アキの新編を仕事向きに整えてゆく。
 親や世間に不審をもたれないように、言い訳のつく表向きの仕事をこしらえ、所得税、地方税を支払い、国民年金と国民健康保険に加入し、社会保険料も支払う。

 ”新聞も読め。最低日経と、全国紙のどれかには毎日目を通せ。真実ばかりが載っているわけではないし、事象の捉え方や掘り下げも浅い場合も、それでも意識をもって目を通していれば、世の中のどんな業界に金が集まっているか、どんな業界に金が集まっているか、どんな金の流れ方をしているのかが、すこしずつ見えてくる。特に選挙がらみと、建設、不動産関係だ。その隙間を狙って、裏金も生まれる。」(p25)
 
 新聞を読む習慣が大切と若い人に言い続けている者としては、つい笑ってしまった。

 Leeson1の裏戸籍(ダブル・アイデンティ)から、試走(シェイクダウン)、実射(ガンショット)、予行演習(ジョブ・トレーニング)、Lesson5の実戦(アクチュアル・ファイト)へと遊び心に満ちた章立てになっている。
 そして、最後に「コパカバーナの棹師」と題する<後日談>が書かれている。垣根がどうして、このような後日談を書こうと思ったのだろうか。

 後日談は単行本のために書き下ろされたものである。
 実際の最終章である「実戦」の最後の頁は、Fileと題され、そこには、脇役として登場した人物たちのその後の消息が載っている。そして、その最後に、「そして、アキ(本名・辻本秀明)・・・プロの裏金強奪仕事人を目指し、まだまだ修行中」とある。
 ここで、ピリオドをうつべきであった。

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