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2009年3月 8日 (日)

 『猿島の七日間』

2009年3月8日 『猿島の七日間』彦一彦 絵・同じ  福武書店④

 ご近所のあちこちで、風景画を描いているおじさんがいるという話を聞いた。早速、町内の会報誌の編集スタッフが取材を始めたところ、市内に住む彦一彦(げんかずひこ)さんという絵描きさんであることがわかった。
 「彦一彦」をネットで検索すると『太陽はいいな』『猿島の七日間』などの本も書いているとある。メーリング・リストでその情報を流すと、W氏から、昔『猿島の七日間』を読んだことがあると返事があった。
 彦さんの画に惚れ込んだK氏が、図書館から借りた『猿島の七日間』と画像データの入ったCDを届けてくれた。10日ほど前のことである。スポーツ法契約研究会の発表の準備に追われていたため、居間の机に置いたままになっていた。
 昨日の発表を終え、卿は、何となく、身体全体に疲労感を覚えていたため、我が家で休養がてら、『猿島の七日間』を読んだ。もっとも、図書館の返却日が、3月11日となっているので、今日、読み終えないと、読む時間がないということもあったのだが。

 猿島は、横須賀市にある。戦艦三笠が保存されている公園の東方約1.75kmの沖合に浮かぶ無人島で、東京湾内唯一の自然島である。ということは、人工島はいくつかあるのだろうとか、江ノ島は東京湾内ではないのだろうか、人口島なのだろうかという妄想?も浮かんでくる。
 猿島は、縄文時代の土器や弥生時代の土器・人骨が出土し、日蓮上人にまつわる伝説がある島なのだが、幕末から戦前にかけては、東京湾の首都防衛拠点となり、要塞・砲台が築造され、要塞跡は現在も残っているらしく、横須賀市の観光案内にも載っている。
 
 彦氏の後書きによると、『猿島の七日間』は、実在の猿島をモデルにしているが、もう少し、この本の設定は、もっと、沖合にある島ということにしたとある。

 西武新宿線の田無に住む11歳の西岡彦樹(げんき)は、お母さんに、多摩川に釣りに行くと嘘をついて、三浦半島の沖合にある猿島へ釣りに行くのだが、岩場で、寝てしまい、午後4時に出る帰りの船に乗り遅れてしまう。次の船は、7日後にならなければ来ない。 彦樹は、次の船がくる7日間、落ちていたライターで火を起こし、持っていたナイフで、岩場の貝を捕り、海の魚を釣り、島に生えている植物をとって食事をする。
 ロビンソン・クルーソーや「十五少年漂流記」、近くは、桐野夏生の「東京島」のように、無人島に漂流する話が数多い。彦樹は、ミノカサゴ、トコブシ、イサキ、アシタバ等々、魚、貝そして植物について、おどろくほど詳しい。1989年に書かれたものであるから、時代設定は20年ほど前のことかと思われるが、この頃の子どもに、これほどの知識があるのかなというほど、あれこれと登場する。おじいさんやお父さんに教えられたというサイド・ストーリーはある。
 というわけで、都会の11歳の少年の冒険譚としてそれなりに、面白く読んだのだが、7日後に、次の船がくるという予定調和の中の物語であるということに、上記の漂流冒険譚と本質的に異なっている。

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