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2009年8月 1日 (土)

『二度目のノーサイド』

2009年8月1日 『二度目のノーサイド』 堂場 瞬一 (小学館文庫) ¥ 670 

 桐生が所属していた武蔵野電産ラグビー部は、5年前、会社のリストラにより、解散を余儀なくされた。ラグビー部が消滅したことにより、他チームに移籍して、ラグビーを続けようとした者、解散を機に、引退して、故郷に帰る者など、様々な人生を送っている。桐生は、ラグビーをやめ、会社に残るが、仕事にも、家庭にも、中途半端な生活を送っていた。
 マネージャーをしていた石川の葬儀の席で、石川が、ラグビー部の最後の試合の10分間、自分たちのラグビーができなかったことを、死ぬまで許せないと言っていたと聞かされる。
 シーズンが終われば解散、負けたらそこで全てが終わりという状況の中で、武蔵野電産は、全国社会人大会の3回戦で、ライバルであったフジビールと対戦し、敗れる。追いつき、追われるという戦いの中、武蔵野電産は、フジビールと引き分け、くじ引きで敗れた。 この最後の試合の戦いは、桐生とその仲間であった男たちの心に今でも、重くのしかかっていた。それぞれの思いを秘めながら。
 フジビールとの再試合を思い立った、桐生は、昔の仲間に声をかけ、自ら、厳しいトレーニングを課するのだが、と話は進んでいく。

 ラグビーの試合は、時折、早慶戦や天皇杯をテレビで観る程度で、実際の試合を観た記憶はない。テレビも、慶応が弱くなってからは観ることもなくなってきた。
 一時、人気のあったラグビーも、サッカーに押されて、マイナースポーツになりつつある。協会もトップ・リーグの創設など、努力をしているようだが、いかんせん、代表戦ともなると、大差で敗れ、興を失ってしまうことが多い。
 それでも、ときおり、周りに、強烈なラグビーファンが現れる。ラグビー部のマネージャーをしているという女子大生は、つい最近、ニュージーランドに、ラグビーの指導者の家にホームステイをしてきた。
 日本で開催された「U20世界ラグビー選手権」の見所や、ワールドカップの誘致の様子を熱く伝えるメールを送ってくる人もいる。
 
 『二度目のノーサイド』は、企業スポーツの消滅により、翻弄されながらも、ラグビーに対する熱き思いを失わない男たちの姿に、あらためて、スポーツをするということはどういうことななのだろうかと考えていた。
 ボールを取り合い、ボールを投げ、持ち、走る、ぶつかる、追いかけてタックルをするという格闘技の王者といえるラグビーの原初的な面白さ、魅力を伝える好編である。

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