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2010年1月14日 (木)

『鉄の骨』

2010年1月14日『鉄の骨』 池井戸 潤  講談社

 直木賞の発表前に、候補作となった池井戸潤の『鉄の骨』を読んでしまおうと思っていたが、読み終わる頃に、受賞作は、佐々木譲の『廃墟に乞う』と白石一文の『ほかならぬ人へ』と発表されていた。
 池井戸は、乱歩賞受賞作『果つる底なき』(1998年)でデビューし、『空飛ぶタイヤ』(2006年)が直木賞候補作となった。『鉄の骨』で、2回目の候補なので、もしかすると読み始めたのだが、ちょっと難しいなという印象であった。
 大学のクラブの後輩ということで、池井戸とは何回か話したことがある。折り目正しい、まじめな印象であった。池井戸は、乱歩賞を受賞する前から、ビジネス書を書いており、今も、小説と並行してビジネス書を書いている。
 どう頭の中を切り分けているのか、分からないが、『空飛ぶタイヤ』がタイヤ脱落事故と大手自動車メーカーのリコール隠しの事件を下敷きにしているように、『鉄の骨』は大手ゼネコンの談合事件を参考にしている。
 もっとも、談合の方は、全国各地で、様々な事件が起きているので、具体的事件を想起することはないのだが、それだけに、談合の仕組み、談合をする者たちの思いもまた、類型的といえば類型的である。談合の世界に取り込まれていく中堅ゼネコンの若きサラリーマンの富島平太と建設業界の天皇とされる三橋の交流、平太の恋人萌との仲が微妙に動いていくさまなど、ところどころ、光っているところがあるのだが、これで、直木賞というと、まだだなと思う。
 エンディングのさわやかさは、いい。次作に期待したい。

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