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2013年4月13日 (土)

デザインと人―25 interviews

2013年4月12日  デザインと人―25 interviews (MARBLE BOOKS) 佐山 一郎
                             (マーブルトロン)   

 25人の様々な分野のデザイナーに対するインタビュー集である。佐山一郎が1998年から2003年にかけて、季刊『デザインニユース』に連載されたものである。
 装幀家の坂川栄治、菊池信義、装幀家から製本工芸家になった栃折久美子から、柳宗理、保科正などの工芸・プロダクトデザイナー、田中一光、横尾忠則などのグラフィック・デザイナーなど、デザインに対する様々な分野のデザイナーが登場する。共通するのは、一つの分野から様々な分野、社会に対する幅の広さであり、思い入れである。
 後書きによるように、1998年あ、日本がワールドカップ(フランス)に初出場した年であり、2002年は日韓共催のワールドカップが開催された年である。
 その後、パソコンや携帯電話の普及により、世の中が大きく変わってしまい、デザインやデザイナーと呼ばれる人たちのイメージも変わってしまったように思える。
 25人のデザイナーが語っている、語ろうとしていることは、新しいものを求めるというよりは、何を醸成していくのかをじっくりと考え、試行錯誤している姿である。

 栃折久美子「本の美は最初から『用の美』です、純粋芸術じゃないんです、その意味では、いまの大量生産の本、これは消耗品としてつくられている茶碗などと同じですよ。量産本の構造上の欠点や弱さに無頓着でいられなかった私は、あるときから一点制作の本を自分自身の手で創っています。バッセ・カルトンと呼ばれるよー六版の伝統的瑠璃湯エール仕立て方です。」(P8)
 内田茂「『ウチダはたしかに得意とするものを創っている。』『だけど日本文化そのもので創ったじゃない。手がかりにして先に抜けていったデザインだ』とっていくれた。」(p29)
    「『ウチダ、デザインなんて恋人に花を贈るようなものなんだよ。たった、それだけのことなんだよ』という結構深遠なものですね、何を隠そう僕の考えとほとんど同じ。」(p34)
  横尾忠則「一瞬困ったわけです。困ったものは断るべきじゃなくて、ちょっと考えてみたいんですよ。困っている自分から抜け出さないと明日も明後日もこまったまま生きなきゃいけないということですからね。」(87)
 
 ノスタルジックにではなく、原点に立ち返り、足下を見直すことを示す刺激的な本である。

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