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2013年11月16日 (土)

『20』  堂場 瞬一

『20』  堂場 瞬一 (実業之日本社文庫)
 スポーツ小説『8年』でデビューした堂場瞬一は、その後、刑事鳴沢了を主人公とする警察小説などのミステリと野球や陸上競技などのスポーツ小説を書いている。
 2011年に新聞社を退職し、作家業に専念しだしたせいか、このことろの出版点数の多さが目につくのだが、ミステリ・ジャンルでの試行錯誤していて、精彩を欠いている気がする。まだ、未読のものもあるので、断言できないが、今年の収穫は、警視庁失踪課・高城賢吾シリーズ程度ではないだろうか。
 一方、スポーツ・ジャンルでは、立て続けに刊行された『独走』と『20』は、面白かった。『独走』については、考えさせられることが多かったが、後日、ゆっくりと書いてみようと思っている。
 『20』は、身売りが決定した名門球団〈スターズ〉は、ペナントレースの5位が確定したイーグルス相手の最終戦に、ルーキーの有原を初先発として起用した。
 球威はあるが、ノーコンの有原であったが、8回までイーグルスの打線を抑え、ノーヒット、1対0で9回を迎える。
  初先発の新人がノーヒットノーランを達成できるか、という場面を巡って、投手、捕手、解説者、監督、高校時代の監督、女子マネージャー、球団の現オーナーと次のオーナーと、18人の視点で、9回表の有原のピッチングを描いている。
  帯に「20球を巡る20のドラマ!」とあるように、『20』は、有原の9回表の投球数を指しているとのことであるが、制球に難がある有原が、2死満塁、2ストライク1ボールとするまでの悪戦苦闘ぶりに、本当に、20球で終わったのかは、もう一度、数えてみないと確認できない。もっと、投げているのではないかと思ってしまった。
  『江夏の21球』は、江夏の投球を巡る様々な駆け引きなどを描いたドキュメンタリーであるが、『20』の方は、次はどうなっていくのかという時間の推移に、有原やチームを巡っておきている場面を、「20コンテンツ」(有原に3コンテンツを当てているので、20となる)で描いているのだが、次はどうなるのかという興味で最後まで引っ張るサスペンスに満ちた小説で、堪能した。

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